たった3%のためにできること ~ピーキング、あるいはそのためのテーパリング⑥~
皆さんこんにちは、Yuです。
今日はコンディショニング、ピーキングの最終回です。
もう一度前回の結論を繰り返します。
長期的なスパンで練習を積み重ねた上で、だいたい14日弱の期間でテーパリングを行う。
練習の強度と頻度は変えず、練習量だけを41~60%程度落とす。落とす際は、一律に落とすよりもメリハリを付ける。ピーキング初期にグッと落とし、後半は少しずつ減らす。
となります。
さて、このピーキングによって、アスリートはどれぐらいのパフォーマンスアップを期待出来るのか?
ズバリ、結論を言います。
タイトルにもあるとおり…平均で3%!だそうです。
まあ、皆さんタイトル見た瞬間から答えは分かっていたと思いますが…改めて提示されると、正直がっかりですよね。
ベンチプレス100kgの人が、14日弱のピーキングによって、103kg挙げることができる。
早い話が、ちっちゃいプレート1枚分です…
人によっては、「そんなもん誤差じゃん!」と思った人もいるでしょう。
特にピーキングなどしなくても、その日の調子でうっかり挙がってしまう人もいるかも知れません。
しかし、しかしです。
この3%、バカにするなんてとんでもない話なのです。
下の表をご覧ください。
2016年、リオ五輪における男子100m走、決勝のタイムです。
金 9.81
銀 9.89
銅 9.91
4位 9.93
5位 9.94
6位 9.96
7位 10.04
8位 10.06
お分かりでしょうか…
トップアスリートの世界では、ほんのわずかな記録の差で、大きく結果が変わってくることが。
銅メダルの選手と、8位の選手とのタイム差は、なんと1.5%です!
つまり、メダルを獲れる/獲れないの差が、ピーキングの成否によって生じうるのです。
3%という数字が、恐ろしく重大な問題であることが実感できたでしょうか。
オリンピックアスリートにとって、メダル獲得の有無でその後の人生が全く違ったものになるのは、皆さん想像が付くことと思います。
多くのアマチュア競技のトップアスリートにとって、一生に一度の舞台といえるのがオリンピックです。
そこで選手達が感じるだろう緊張やプレッシャーは、一般人には想像も付きません。
何が何でも結果を出したい選手たち。
ピーキング技術のことを全く知らなければ、安易に「超回復」の奇跡を信じて、直前に練習量を激増させてしまうかも知れません。
おそらくその選手は、よほどの強運や遺伝的特性に恵まれない限り、夢の大舞台で結果を出すことはできないでしょう。
(とはいえ、遺伝的に規格外の人達の集まりがオリンピックアスリートなので…。中には本当に「超回復」してしまった事例があるかも知れません)
そして、別にトップアスリートじゃなくとも、紙一重の差で試合に負けた経験のある方は少なくないのではないでしょうか。
その負けた原因が、単に練習不足だというのなら仕方ありません。
才能の差もあるでしょう。残念ながら、競争の世界で重要なのは、練習量よりも遺伝的才能です。
しかし、負けた原因が、「3%を本番で稼ぐ方法」を知らないせいだとしたら?
しかも、僅差によって。
たかが3%。されど3%。
知らなくてもいい人もいるでしょう。
しかし、知らないでは済まされない人もいるのが、ピーキングなのです。
それではこの辺で。