たった3%のためにできること ~ピーキング、あるいはそのためのテーパリング⑤~
皆さんこんにちは、Yuです。
今日はコンディショニングの続きです。
今日のテーマは、具体的に試合のどれぐらい前になったらピーキングを開始するのか、またどんな割合で練習量を減らしていくのか、についてです。
まず、最初にことわっておかねばならないのは、エビデンスはあくまでも統計的な平均値だということです。
競技の種目によっても事情は異なるでしょうし、個人差も大きいと思われます。
よって、愚直に結果を受け容れ、ただ応用するのはリスクを伴います。
それを踏まえた上で、以下の説明を読んでください。
まず、ピーキングの期間をどれぐらいとるか。
2007年の研究によると、一番有望なのは8~14日間という結果が出ています。
一応リンクを張っておきます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17762369/
これより短くても長くても、良い結果を生まないことが示唆されています。
だいたい2週間弱、練習量を減らすことが良い結果につながりやすいようです。
では、どれぐらい減らすのか。
まず言っておきたいのは、練習の「量」は減らしても、「強度」は下げてはいけないということです。
ウェイトリフターが試合直前に扱う重量をグッと下げたり、スプリンターが6割程度に力をセーブして走ったりするのは、ピーキングとしては相応しくないということです。
(もちろん、純粋に疲労を抜く目的で行う分には有効だと思います)
強度を下げると、むしろ悪影響があることがデータから示唆されています。
また、練習量を減らす際には、「頻度」も下げてはいけないようです。
週4でやっていた練習をコンディショニング期間だからといって週2回とかに減らすと、やはり悪影響があるようです。
色々難しいですね。
となると、強度と頻度は変えずに、練習の量だけを減らす必要があるわけです。
今まで1回の練習で10セットやっていたものを、6セットとか4セットとかに減らすイメージですね。
この量を減らすというやり方が、「先細りさせる」という意味で「テーパリング」と呼ばれています。つまり、ピーキングのためにテーパリングするわけです。
それでは、具体的にどれぐらい減らすべきなのか?
これも同じく2007年の研究によりますと、だいたい41~60%に減らすのが良いようです。
ざっくり半分ですね。
あまり減らさない、減らしすぎないのではなく、適度に減らす必要がありそうです。
また、ピーキング期間を通じて一律に量を減らすよりも、ある程度メリハリをつけて減らす方が良いようです。
これは1999年の研究になります。一応リンクを。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17762369/
14日前から一律で量を50%に…というよりは、80%、60%、40%…という風に段階的に減らした方が有望なようです。
しかも、同一のペースで直線的に減らしていくよりも、ピーキング期間の前半にある程度グッと大きく減らし、そこから更に少しずつ減らす方が良さげです。
上記の論文ではFast exponential decay、つまり「早く、指数関数的に(急激に)減らす」やり方を支持しています。
「指数関数的な減少」とは、下の図の青い線のようなイメージです。
あくまでも一例として挙げるなら、(練習の頻度と強度は変えずに)試合の14~10日前辺りで一気に60%程度まで練習量を減らし、そこからさらにジワジワと減らして、試合直前には40%程度に減っている、というイメージでしょうか。
もちろん、機械的に単純に当てはめるよりも、自身の体調をつぶさに観察しながら微調整を行うべきだと思います。
それでは、このピーキングによってどれぐらいの恩恵が得られるのか?
気になるでしょうが…すいません、続きは次回です。