たった3%のためにできること ~ピーキング、あるいはそのためのテーパリング④~
皆さんこんにちは、Yuです。
今日もコンディショニングの続きです。
前回まで、いわゆる「超回復理論」の代わりに、「フィットネスと疲労の2軸理論」を紹介してきました。
フィットネスの向上・低下と、疲労の蓄積・軽減を別々に分けて考えるというモデルです。
この理論によって新たに導かれる方針はこうです。
まず、①フィットネス自体はなるべく長期的なスパンに基づいて向上させていく。
直前に一気に練習量を増やしても、ただちに結果は返ってきません。
むしろ、前回述べたようにオーバートレーニングで調子を崩すリスクすらあります。
そして②重要な試合がある程度近づいたところで、これまでの練習量を段階的に減らしていき、疲労を減らす。同時に、フィットネスの低下をできる限り防ぐべく配慮する。フィットネスを極力保ちつつ、疲労が最大限抜ける最適なバランスの状態を、試合当日にぶつける。
これが基本方針になります。
基本的に、フィットネスは練習すればするほど高まります。
ただし、もう一度繰り返しますが、それは数ヶ月~1年ぐらいの、長期的な計画に基づいて行うべきです。
大きく疲労させるために、試合直前で一気に練習量を増やすというのは、あまり意味がありません。
フィットネスは、向上も低下もかなりゆっくり、ゆるやかに起こると考えられるからです。
むしろ、試合直前で狙うべきなのは、フィットネスの急上昇ではなく、その低下を防ぐという発想です。
そのために必要なのは、少しずつ向上して高いレベルにあるはずのフィットネスを、一時的に阻害し、発揮できなくしている要因であるところの、疲労の軽減です。
日々の練習をこなすことができているから、特に疲労はない、と思うかも知れません。
しかし、日々の練習を継続しているということは、むしろ身体には恒常的に疲労が残った状態にある、と考えるべきです。
特に、デロードやオフといった概念を持たず、恒常的に高ボリュームの練習を継続している人ほど、知らず知らず疲労を溜めている可能性があります。
こうした状態から、フィットネスを低下させずに疲労だけを上手く抜くと、見かけ上のパフォーマンスがグッと急上昇します。
部活動やクラブ活動などで、あなたも経験したことはないでしょうか。
厳しい練習を積み重ね、目標としていた重要な試合が終わって、シーズンが終了した時。
その1週間後か2週間後辺りに、やたら調子の良いときが訪れる…という経験です。
あれは、おそらく偶然ではありません。
まさに、上記の「疲労の軽減によるパフォーマンスの急上昇」が起こっていると考えられます。
お分かりでしょうか。
これこそが、従来の超回復理論が夢見ていたピーキングの理想型なのです。
そして、上記の「ある程度試合に近づいた時点」がいつなのか、練習をどれぐらい減らすのがベストなのか、といった具体的なやり方について、ある程度の科学的なエビデンスが蓄積しています。
すいませんが、次回に続きます。