たった3%のためにできること ~ピーキング、あるいはそのためのテーパリング~
皆さんこんにちは、Yuです。
今日は、「ピーキング」や「コンディショニング」といった概念についてお話ししましょう。
少し専門的な話題です。
よく、試合前にコンディションを整える目的で「調整」を行う、という話を聞くと思います。
プロやトップアスリートほど、こうした調整を入念に行っているイメージがあるのではないでしょうか。
ところで、この「調整」とは具体的には何をすればいいのでしょうか?
よくあるイメージとしては、「直前までハードに練習して身体を徹底的に疲労させ、そこからオフをとって一気に回復、いわゆる超回復を狙う」というやり方ではないでしょうか。
コンディションを上げるためには、一回激しく疲労させて身体を追い込まないといけない。
その状態から回復することで、身体はこれまで以上の能力を発揮することができる。
こんなイメージを持っている方が多いと思います。
下図のイメージですね。
トレーニング直後に能力が落ち、その後少し遅れて能力の向上がやってくる。
しかし残念ながら、これは現在のスポーツ科学で判明しているコンディショニングの概念と異なります。
まず、この「超回復」という言葉。
現在では、この用語がスポーツ科学の分野で用いられることはまずありません。
それは、この概念が間違っているからというよりは、人体のメカニズムを単純化し過ぎていて、適合しない場面が多いことが分かっているからです。
従来、超回復は筋肥大や筋力向上のモデル理論としてはかなり一般的でした。
今でも、分野によっては用いられていることがあるかも知れません。
あるいは、分かりやすさを優先して、あえて今でもこの説明をしている場合もあります。
「超回復」の説明はこうです。
筋力トレーニングなどで筋肉に強い負荷がかかることで、一時的に筋肉や筋繊維へのダメージが生じる。そのダメージを修復する過程で、一時的にではあるが筋肉はこれまでよりも太く、強くなる。
この、「一時的にこれまで以上に太く強くなる」現象が「超回復」と呼ばれていました。
しかし、この状態は長く続かず、放っておくとまた元のレベルに戻ってしまいます。
だから、トレーニング直後は安静にしつつ栄養を確保して回復を促し、超回復がやってくる適切なタイミングでまた新たにトレーニングを実施して筋肉に負荷をかけることで、更なる筋肥大や筋力向上を望むことができる…というものです。
一見すると、特におかしな所はないように思えます。
この考え方の、どこがダメなのでしょうか。
解説は次回に続きます。