スカルクラッシャーは肩も動かせ!
スカルクラッシャーは肩も動かせ!
上腕三頭筋を鍛える種目として比較的重量を扱える種目として有名な種目です。実際にジムでも取り組んでいる方をよくお見掛けしますが、個人的にはそのほとんどが微妙なフォームばかりです。今回はそんなスカルクラッシャーの正しいフォームについて解説していきます。
上腕三頭筋の解剖
上腕三頭筋はその名の通り頭が3つ存在します。それぞれの特徴と一緒に解説します。
〇長頭
起始:肩甲骨関節下結節
停止:尺骨肘頭
作用:肘伸展・肩伸展・(肩内転)
〇外側頭
起始:上腕骨後面近位
停止:尺骨肘頭
作用:肘伸展・(前腕回内)
〇内側頭
起始:上腕骨後面遠位
停止:尺骨肘頭
作用:肘伸展・(前腕回内)
上腕三頭筋の特徴は様々ありますが、まずは長頭のみが肩関節と肘関節をまたぐ二関節筋であるということです。肩甲骨に付着していることから肘の伸展に加えて肩の伸展も行うのが長頭です。付着部は近接している小円筋と大円筋によって重なり挟まっています。これにより何らかの原因で長頭が圧迫されてしまい機能低下を起こすことも考えられます。また長頭はわずかに肩関節の内転にも働きます。
今回のスカルクラッシャーの解説では最も重要になります。
外側頭と内側頭に関してはメインの作用は肘関節の伸展になります。外側頭に関しては前腕の回外を行う際に最も強く筋発揮をします。どちらも起始部に関しては上腕骨の広範囲にわたって付着しているのも特徴です。
停止部はすべてが尺骨肘頭に停止をしています。上腕二頭筋の停止部である橈骨粗面とは違い、この尺骨肘頭は手のひらが上を向いていても下を向いていても動くことはありません。要するに前腕の回内の動作を除いては手のひらがどこを向いていても上腕三頭筋を収縮するうえでは関与しないということになります。
スカルクラッシャーの効率のいいフォーム
上腕三頭筋の解剖を理解すれば大方結論が出たも同然ですが、スカルクラッシャーは上腕三頭筋最大の伸張性収縮、要するにストレッチ種目ということになります。最大のメリットは肘関節の伸展に加えて肩関節を同時に伸展していった際に最もモーメントアームが最大になることにあります。
つまり二関節筋、そして肩関節の伸展筋である長頭を鍛えるうえでとても効率のいい種目ということになります。
スカルクラッシャーにおいて肘の単関節運動を行うのは確かに比較的高重量を扱うことができますが長頭に対するメリットはそこまで多くありません。肘の単関節運動で長頭を狙うのであればスカルクラッシャーよりもオーバーヘッドエクステンション、つまりフレンチプレスのほうが効果的です。
更なるストレスを加えるためには
スカルクラッシャーで肘関節と肩関節を同時に伸展したほうがいい理由に関しては前述した通りです。しかしながらモーメントアームが最も最大になった際、つまり重りが肩の延長線上の来た時に肩関節は恐らく伸展160度程度だと思います。肩関節の伸展可動域に特に問題がなければ通常耳を超えて180度まで伸展することが可能なはずです。
つまりインクラインベンチを焼く20度にセットしたうえで肩関節を180度伸展した際にモーメントアームが最大になるように行えばフラットで行うよりもより伸張性のストレスが大きくなるということです。
ただし、何らかの理由で肩関節の伸展制限がある方は容易にけがの原因になりますし腰椎の伸展、つまり腰を反るといった代償動作が出やすくなりますのでお気を付けください。
肘の障害予防
ほとんどの場合がストレートもしくはEZバーを用いて行うと思いますが高重量を扱える半面、肘関節に対するストレスも大きくなります。
特に女性の場合は筋肥大を目的にしないケースや重量を扱わないケースが多いと思いますのでそういった場合はダンベルで行うのもありだと思います。ダンベルで行う場合は前腕の回内外の動作も行えるため肘関節に対するストレスも軽減することが可能です。
ちなみに
スカルクラッシャーは直訳すると頭蓋骨の破壊です。読んで字のごとくです。この種目による事故や死亡例は日本でも報告されています。動作時であれば前述した通り肩関節の伸展を伴えば頭の上に重りが落ちることはありません。ですがくれぐれもお気を付けくださいませ。