そのスクワット、どこまでしゃがむ? ~スクワットの深さについて、深く掘り下げよう③~
さて、前回の続きです。
スクワットは少なくともパラレル以上、出切ればフルぐらいに深くないといけない、という話でした。
ただそうなると、クォーターよりフルの方が優秀なら、フルボトムやATGでやった方がより優秀なのでは?という疑問が生じると思います。
これについては、トレーナーによって意見が分かれるかも知れませんが…
一応自分の答えを述べておきます。
まず、ウェイトリフティングなどの競技を行う人は、無条件でフルボトムでしょう。
クリーンで必要とされる動きなので、やるしかありません。
しかし、それ以外の人であれば、基本はフルの深さでいいと思います。
なぜか説明しましょう。
スクワットは大別するとハイバースクワットとローバースクワットに分けられるのですが、よりコンパウンドなのは、つまりより多くの筋肉にまんべんなく負荷が掛かるのはローバーポジションです。
なのでスクワットは特に事情がない限り、ローバーをオススメしています。
(ただし、ローバーは最初にレクチャーを受けないとまずできません。しかるべきトレーナーに見てもらうか、最低でも信頼できる動画を参照しましょう)
そしてローバーでスクワットをすると、おそらく多くの人が股関節の柔軟性の問題で、フルボトムまでしゃがむことが難しいのです。
ローバーは脚幅を広めに取るので、どうしてもしゃがめる限界が制限されます。
股関節は、脚幅が狭い方が深くしゃがめます。
ただ脚幅を広げた分、内転筋に負荷をかけることができます。
(ワイドデッドリフトほどの負荷はかかりません)
内転筋が鍛えにくい部位であることは過去に説明しましたね。
また、ローバーポジションの方が、お尻の筋肉、つまり臀筋により負荷がかかります。
前傾姿勢もきつくなるので、脊柱起立筋の負荷も強くなります。
よりコンパウンドな種目として、色んな部位の負荷を高めることができます。
しかも、ハイバーよりもわずかながら高重量を扱えることが多いです。
逆に、ハイバースクワットは負荷の大部分が大腿四頭筋に集中します。
もちろんスクワットそのものがコンパウンド種目なので、ハイバーでも色んな部位に負荷はかかりますが…
EMGの結果などを見るかぎり、ハイバーよりローバーの方がコンパウンド種目としては優秀だと思います。
ということで、「よりコンパウンドな種目であるローバースタンスで、なるべく深くしゃがむ。そうなると、深さはパラレルより少し深いフルあたりに落ち着くだろう」というのが結論です。
もちろん、ローバーでベタしゃがみして何の問題もない、という人は、それでもいいでしょう。
ただ、そういう人は、もしかしたら可動域の広さが逆に問題かもしれません。
実をいうと、可動域は広ければ広いほど良い、というものではありません。
可動域が狭いのも問題ですが、広すぎると逆に怪我のリスクが高いことが知られています。
過伸展や脱臼の問題ですね。
それから、もし可能ならスクワットの深さを実際にスマホなどで動画を撮り、確認してください(残念ながら、大手ジムなどは撮影禁止の場合が多いです)。
鏡に映った自分の姿と、実際の姿勢は意外と一致しません。
鏡を正面に見てスクワットをすると、上からのぞき込む格好になります。実際よりも深くしゃがんでいると勘違いしやすいです。
それではこの辺で次回に続きます。