そのスクワット、どこまでしゃがむ? ~スクワットの深さについて、深く掘り下げよう②~
さて、前回の続きです。
スクワットの深さについて、残りの2種類です。
⑤フル
「完全」スクワットですが、上記の「パラレル」を超えて深くしゃがむと「フルスクワット」とみなされることが多いです。
あるいは、モモ裏とふくらはぎが触れるのを「フルスクワット」とする、という人もいます。
この辺は人によって意見が分かれるかも知れません。
どちらでも大体同じ深さにはなりますが。
ちょっと試してみてください。
ちなみに、パワーリフティングのルールでは「ヒザの上部よりも股関節付け根の上部が深くなるようしゃがむ」のがスクワット試技成功の条件です。
前者の基準ですね。
⑥フルボトム/ATG
「完全な底」スクワットです。
要は、しゃがめる限界までしゃがんだ位置。
いわゆるウ○コ座りのスクワット。
ATGというのは、「Ass To Ground」の略だそうです。
直訳すると「ケツを地面に」。
いわゆるウェイトリフターのスクワットはこれですね。
スクワットの最高峰というか最高難易度ですが、人によっては可動域の問題で無理かも知れません。足首が固いと難しいです。
また、ローバーポジションの担ぎ方でも、フルボトムは難しいでしょう。
リフティングシューズという、かかとの高くなった靴を履くとやりやすくなります。
革靴みたいに固い靴底に、スポーツシューズが乗っかったような靴です。
最近では、ジムでもちらほら見かけるようになりましたね。
色んなスクワットの深さがあると分かったところで、実際どこまで深くしゃがめばいいのか?
先に結論を言います。
スクワットは、最低でもパラレル以上の深さで行いましょう。
この場合、パラレルは「ヒザの上部と股関節の上部を結んだ線が床と平行」です。
おおむねこれぐらい、と思われる動画を載せておきます。
基本的にスクワットは深い方が良いです。
フルスクワットがオススメで、ただしフルボトムまではやらなくていいと思います。
理由は後ほど説明します。
まず、深い方が良い理由について。
いくつかの研究によると、クォーターやハーフスクワットとフル(もしくはパラレル)スクワットを比較した場合、
筋肥大
筋力向上
などの点において、フルスクワットの方が優秀なことが示されています。
ついでにいうと、垂直跳びなどの運動能力に関しても、フルの方が伸びました。
厳密にいうと、クォータースクワットでも、筋肥大も筋力向上も起こります。
ただし、クォーターの場合、筋肥大の効果も小さく、筋力の向上もクォーターの可動域に限られるようです。
また、クォーターでは臀筋が発達しません。
トレーニングにおける原則の一つに、「特異性の原則」というものがあります。
簡単にいうと、「ヒトの能力はトレーニングした分野しか向上しない」というものです。
有酸素を頑張れば有酸素、瞬発力を頑張れば瞬発力、柔軟性を頑張れば柔軟性しか向上しないというのが原則です。
スクワットの場合でいうと、行った深さの可動域でしか、筋力が向上しないということです。
つまり、クォータースクワットだけを行った場合、浅くしゃがんだ局面の筋力だけが強化されて、深くしゃがんだ局面では強化されなかったのですね。
よく、「使える/使えない筋肉」という言い方をしますが、フルとクォーターで鍛えた筋肉のどちらが「使える」でしょうか。
おそらく、ほとんどの人がフルで鍛えた筋肉だと思うでしょう。
それでは次回に続きます。