分割するかしないか、それが問題だ④~全身法、分割法を巡る冒険~
皆さんこんにちは、Yuです。
さて、前回紹介した「筋トレは追い込まない」という原則と、「RPE」なる用語。
今日はこの2つについて解説します。
まず、「筋トレは追い込まない」方がいいのは本当か?
実はこれも、最近のデータによって確かめられています。
以前紹介しましたが、筋トレは「週辺りの総ボリュームが多い方が効果がある」ことが分かっています。
それから、「人間の回復力には限界がある」ということも分かっています。
これらの知見が矛盾というか、相容れず両立しないというのがお分かりでしょうか。
たくさん筋トレしたいけど、回復力の限界を超えてはいけない。
この相反する要求を満たす最適解が、実は「1回のトレーニングではなるべく追い込まずに余力を残しつつ、週に何日も行う」というものなのです。
これは高速道路などで例えると分かりやすいかもしれません。
道幅の拡張などを行わずに、道路の交通量を最大化するにはどうしたらいいか?
それは、常に一定の間隔を保ったまま、ひたすら車を走らせることです。
朝も昼も夜も、ずっと同じペースで許容量ギリギリの台数を走らせるのが正解です。
逆に、ある時間帯にだけ許容量を超えた台数が殺到してしまうと、「渋滞」が起こります。
結果として、交通量は大きく下がりますね。
週1日で各部位を追い込むというやり方が、まさにこの「渋滞」を生み出しやすいやり方だというのがお分かりいただけるでしょうか。
しかしそうは言っても、いたずらに台数を減らしてしまっても交通量は下がります。
いくら胸の種目を週5日行うといっても、毎日1セットだけでは成長は見込めないでしょう。
なので、「ほどほどに辛いけど、余力は残す」必要があります。
ここで役に立つのが、「RPE」という概念です。
これはRating of Perceived Exertionの頭文字で、日本語では「体感的疲労尺度」とでも訳せます。
ざっくり言うと、自分の主観で「あと何回挙がるか?」を数字にしてください。
もう1回も挙がらない、もしくはつぶれた…RPE10
あと1回挙がる…RPE9
あと2回挙がる…RPE8
のような感じです。
「もしかしたらあと1回挙がるかな?でもちょっと自信ない…」というのはRPE9.5とします。
はっきりいって完全に自分の主観なので、正確な値ではありません。
でも、少なくとも中級者以上の人は、これがけっこう役に立つことが実験などで分かっています。
具体的にいうと、各セットをRPE7~9に収めることがボリュームを稼ぐコツです。
1日の筋トレを、「腹八分目」ぐらいで終えてください。
もし、RPE10、つまり限界を追求するとしても、この種目の、このセット!とターゲットを絞ってください。
追い込むのは、多くても1部位につき週に1~2セットで十分です。
それでは、次回は全身法のプログラムを紹介します。