「デッドリフト」と「ベントオーバーロウ」の違いを徹底解説!
動作はよく似ているのに、実は似て非なる2つの種目を、パーソナルトレーナーの荒木健太郎さんが徹底解説します!
今回は「デッドリフト」と「ベントオーバーロウ」です。
デッドリフトの種目解説
●デッドリフトのやり方
①足を肩幅に開き、膝を軽く曲げる。背中をまっすぐ伸ばし、上半身を前傾させた姿勢(ベントオーバー)から両手でバーベルを持つ。
③バーベルを体の前面(脛や太腿)に沿わせるように持ち上げ、膝を伸ばし、胸を張る
③お尻を後ろに突き出しながら、バーベルを同様に膝下まで下ろしていく
デットリフトは筋トレBIG3の一つで、筋トレ初心者から上級者まで人気の種目。脊柱起立筋をメインに、僧帽筋や広背筋、大臀筋、ハムストリングスを鍛えることができます。
高重量が扱える種目で、特に背面全体のバルクアップに効果的。
フルで行うデッドリフトは大臀筋、ハムストリングスの刺激も強いため、どちらかというと下半身のトレーニングになるかもしれません。
動作中に一番注意すべきポイントは、背中を丸めないこと。腰を痛める原因になります。胸を張って、腰から首までまっすぐに固定するような姿勢を保持して行うことが大切です。
スティッフレッグデッドリフトやスモウデッドリフト、トップサイドデッドリフトなど、バリエーションがたくさんあります。
ベントオーバーロウイングの種目解説
●ベントオーバーロウのやり方
① 足を肩幅に開いて立ち、膝を軽く曲げる。背中をまっすぐ伸ばし、上半身を前傾させた姿勢(ベントオーバー)から両手でバーベルを持つ。
② 息を吐きながら、バーベルをみぞおちから下腹部まで引き上げる
③ 一瞬キープし、ゆっくりバーを膝の下くらいの位置まで戻す
ベントオーバーロウは、主に僧帽筋や広背筋といった、背中の凹凸感を出す筋肉を鍛える種目です。
床とほぼ平行になるまで上体を倒し、肘を横に張ってみぞおちに引くと、僧帽筋中部と下部、菱形筋への刺激が強くなります(肩甲骨の内転の作用)。
あまり前傾せず(体の角度としては60〜70度程度)、脇を閉めて下腹部に向かって引くと広背筋に効きやすいです。
広背筋を鍛える基本種目として紹介されますが、姿勢の保持などが難しく、上級者向けの種目といえます。
バーベルを持ち上げると同時に体幹も動いてしまう人が多いですが、体幹は固定して、肩甲骨と肘の動きを意識して動作するようにしましょう。
重量にこだわるのではなく、収縮したところで少しストップできるくらいの重さがベストです。
デッドリフトとベントオーバーロウイングの違い
デッドリフトは背中全体に効きますが、メインは脊柱起立筋で、ハムストリングや大臀筋などへの刺激も強く、筋肥大も可能。
一方、ベントオーバーロウイングは広背筋と僧帽筋の収縮の刺激が強くなるので、分厚くて立体感のある背中、通称「クリスマスツリー」を作るのには有効です。脇を閉めて、下腹部に引くように行うとよいです。
デッドリフトとベントオーバーロウイングの使い分け
ハムストリングスと大臀筋の筋力がないとベントオーバーロウイングの姿勢が保持できないため、まずはデッドリフトの重量を伸ばすようにするとよいでしょう。
僧帽筋や菱形筋といった背中の凹凸を出したい場合は、体を前傾させてみぞおちに引く形のベントオーバーロウイングを追加しましょう。
また、背中のクリスマスツリーを作りたい場合は、脇を閉めて下腹部に引くように行うベントオーバーロウイングを追加しましょう。
デッドリフトは収縮時に負荷がかからない種目ですが、ヘックスバーがあれば負荷がかけられるので、個人的にはオススメです。
また、床から引くデッドリフトはフォームが難しく、普段のデスクワークが中心だと、大殿筋やハムストリングが硬くなっている人が多いです。
特に男性はこれらの筋肉が固い傾向にあり、自己流でやっていると腰を痛めてしまいます。
柔軟性が足りない人の場合、膝付近から引くハーフのデッドリフトから始めて、徐々に下から引くようにすると良いと思います。
●荒木健太郎(あらき・けんたろう)
東海大学体育学部競技スポーツ学科コーチトレーナーコース卒。大手パーソナルトレーナー会社に就職後、フリーに。
2016年関東オープンメンズフィジーク3位、同年オールジャパンメンズフィジークジュニア1位、17年スポルテックカップ6位。その他入賞多数。
https://arakikentaro.com/